writerに本文だけ任せたら、逆に編集長の仕事が見えた

AI社員で記事を回す実践記録

前回、発注書をやめてカルテ1枚に一本化した話を書いた。
引き継ぎで迷わなくなった。
それは確かに変わった。

でも、カルテ1枚に一本化した効果は、引き継ぎだけでは終わらなかった。
writerに渡すものを絞ったら、俺(henshucho)の側に残る仕事の輪郭が、前よりはっきり見えてきた。
これは、writerを楽にした話ではなく、俺の仕事が見えた話だ。

AIライターにどこまで任せるか。
その役割分担を試していたら、逆に編集長である俺の仕事が見えてきた。


writerに何も決めさせなかった。渡したのはカルテ1枚だけだった

writerには、競合分析もさせない。
H2構成も決めさせない。
SEOの判断もさせない。

渡すのはカルテ1枚だけだ。
主張、H2構成、必ず入れる実話、書かないこと、末尾の着地。
それだけを書き切って渡す。

執筆フローの中でwriterの持ち場を絞った。
writerの仕事を、本文を書くことだけに絞った。

書く前に何を調べるか、どの順で語るか、どこまで書いてどこから書かないか。
それを全部、writerの手前で終わらせておく。
writerが手をつける頃には、決めることはもう残っていない状態にする。

役職を分けること自体は、編集長・writer・researcherという体制を作った回(ブログ運営に役職を作った話)からずっと決めていたことだ。
今回変わったのは、その役職の中身をどこまで絞れるか、という話だった。

カルテの「writerへの発注」欄が、writerの迷いを先に潰していた

以前の記事「目次と内部リンクで、ブログを記事の集まりからサイトに変える」のカルテを読み返すと、「writerへの発注」欄に構成・実話の扱い・書かないことまで具体的に書いてあった。
実話が確認できていない箇所は「創作しない」と先に明記していた。
迷いそうな箇所を、俺が先につぶしていた形だ。

writerはその欄をなぞるだけで、本文の骨格に迷わずに済む。
発注書の中身が薄いと、その分の判断がwriterに流れ込む。
逆に、俺が発注書に書き切れば、writerは書くことに専念できる。

発注書の厚みが、writerの迷いの少なさに直結していた。

裏を返せば、発注書が薄ければwriterは自分で判断するしかなくなる。
判断する権限がwriterにあるわけではないから、それは迷いのまま止まる。
迷いを渡さないためには、発注書の側を厚くするしかなかった。

この役割を作る最小プロンプト

あなたはwriterです。
カルテの主張、H2構成、必ず入れる実話、書かないことだけを使って本文を書いてください。
判断が必要なことは決めず、「要確認」として止まってください。

本文を書くだけになったwriterのログには、「自己検収済み」としか書いていなかった

その記事のwriterの制作状態ログを見ると、「H2構成9本すべて反映」「『書かないこと』記載の内容の混入なし」「実話プレースホルダーを明記し創作なし」と、チェック項目つきの一言で終わっていた。

前の記事でも同じだった。
「H2構成7本すべて反映」「一人称『俺』・だ、である調維持」「実ログを実話として使用、創作なし」「断定する表現なし・例外規定を明記」。
それだけ書いて、次のcontent_managerに渡っていた。

迷った跡がないログは、迷う場面がなかった証拠でもある。
書きながら考えた形跡が残っていない。
それだけ、渡された時点で決めることが残っていなかったということだ。

writerが決めなくなった分だけ、henshuchoが決めることが増えていた

writerのログが軽くなるほど、俺のログは重くなっていった。
目次と内部リンクの記事のカルテを見返すと、henshuchoの行だけが長い。
構成9本の並び、実話の扱い方、書かないことの線引き。
全部、書く前に俺が決めていた。

writerを分業で楽にしたつもりが、実際には俺の判断を前倒ししただけだった。
分業は仕事を消す仕組みではなく、仕事を動かす仕組みだった。

減ったのはwriterの判断で、俺の判断は減っていなかった。


主張・構成・差別化切り口・書かないこと。henshuchoが背負ったのはこの4つだった

writerに渡すカルテを書くとき、俺が毎回決めているのはこの4つだ。

  • 記事の主張(一言で言い切れるか)
  • H2構成(何本で、どの順で語るか)
  • 差別化切り口(researcherの調査から何を選ぶか)
  • 書かないこと(何を書けば競合と同じになるか)

この4つが曖昧なまま発注すると、writerは書きながら迷う。
writerが迷わなかった2本の記事は、この4つを俺が発注前に決め切れていた回だった。

writerが迷わない記事は、発注前に俺がもう迷い終えている記事だ。

AIライターの役割分担は、判断の置き場所を1つに決めることだった

分業と聞くと、仕事が分かれて全体が楽になる図を想像していた。
実際に回してみると、そうではなかった。
判断は消えない。
どこか一箇所に集まるだけだ。

writerが本文だけに集中できるようになったのは、判断の置き場所を俺に固定したからだ。
writerの仕事を軽くしたのではない。
判断の場所を、カルテを書く瞬間の俺に決めただけだ。

分業とは、仕事を減らす仕組みではなく、迷う場所を1つに決める仕組みだった。

迷う場所が1つに決まると、迷っていい人と迷ってはいけない人が分かれる。
writerは迷ってはいけない側になった。
迷っていいのは、発注書を書く俺の側だけだ。

同じことは、実装エージェントを作った回(AIに全部やらせず、担当を分けた話)でも起きていた。
担当を分けるほど、迷う場所は減るのではなく、1箇所に集まっていく。


次に残った仕事は、公開前のチェックをどう分けるかだった

writerの本文が上がってくると、次はcontent_managerのaudit、SEOレビュー、下書き保存と続く。
ここでも同じ問いが出てくる。
「どこまでを誰が確認し、どこからを誰が確認するのか」。

writerの分業で見えたのは、公開前のチェックも同じように分け直せる余地があるということだった。
チェックの置き場所を決め切れていない部分は、まだ俺の中で曖昧なままだ。

writerの分業で判断の置き場所を1つに決めたように、公開前のチェックでも同じ問いを立てるところから始めることになる。

次は、公開前のチェックを分けたら何が安心につながったか、その話を書く。

コメント