記事制作の仕組みを作ると、ファイルは少しずつ増える。
記事ごとのカルテ。
公開前の本文。
シリーズの一覧。
公開済み記事を確認するDB。
どれも必要だから作った。
ただ、同じことが二つの場所に書かれ始めると、次にどこを見ればよいか分からなくなる。
俺が決めたかったのは、全部を1つのファイルへ集めることではなかった。
情報の種類ごとに、今見る場所を1つにすることだった。
ファイルが増えると、同じ情報が並び始める
記事を作る前には、タイトルや書かないことを決める。
本文を書いたら、見出しや内部リンク候補が増える。
公開したら、URL、投稿ID、公開状態を確認する。
それぞれの時点で必要な記録は違う。
それなのに、記事の状態を本文の末尾にも、シリーズ一覧にも、DBにも書き始めると、少しずつ内容がずれる。
下書きではまだ公開前なのに、一覧だけ公開済みに見える。
シリーズの順番をDBに書こうとして、記事のURL確認まで混ぜてしまう。
たとえば公開したあと、draftにもseriesにもDBにも公開URLを書く。
あとでURLを直し、DBだけを更新すると、別の場所には古いURLが残る。
どちらが正しいかを確認する作業が、そこから始まる。
ファイルが多いこと自体が問題ではない。
同じ判断の答えを、複数の場所へ置くことが重くなる。
正本が決まっていないと、確認するたびに探す場所が増える。
正本は、1つのファイルではなかった
正本と聞くと、全部の情報を集めた大きなファイルを想像しやすい。
でも、記事制作では情報の種類まで同じではない。
今どの工程にいるか。
本文はどこまで書けたか。
シリーズの中で何本目か。
公開URLと投稿IDは何か。
これを1か所へ集めると、今度はそのファイルが何のためにあるのか分かりにくくなる。
だから俺は、情報の種類ごとに正本を分けている。
記事の判断と進行はarticle_state。
公開前の本文はdraft。
シリーズの並びはseries_s4.md。
公開済み記事のURLや投稿IDの照合はarticles.db。
1つのファイルにまとめるのではない。
1つの問いに対して、見る場所を1つ決める。
それが、この運用でいう正本だった。
自分の環境で置き換えるなら、ファイル名まで同じにする必要はない。
知りたいことと、見る場所の組み合わせだけを決めればよい。
| 知りたいこと | 見る場所 |
|---|---|
| 今どこまで進んでいるか | 制作管理ファイル |
| 今の本文はどれか | 下書き |
| シリーズの順番は何か | シリーズ一覧 |
| 公開URLは何か | 公開記事台帳 |
記事の判断はarticle_stateに残す
記事の核、読者、書かないこと、停止した場所。
こうした制作中の判断は、article_stateに残す。
本文だけを読んでも、なぜその見出しにしたか、何をあえて書かなかったかまでは分からない。
逆に、カルテだけでは公開する本文にならない。
役割が違うから、本文とカルテを同じものとして扱わない。
1本の記事をカルテ1枚で回したときも、本文そのものではなく、判断と停止と引き継ぎが残った。
カルテ1枚で記事制作を回した記録は、その違いを確かめた実践記録である。
記事の状態を確認したいときは、本文を探さない。
article_stateを見る。
判断の正本を決めると、本文の中から経緯を掘り返さなくてよくなる。
本文、シリーズ、公開記録は別の場所に置く
draftは、公開前に直す本文の正本である。
まだ公開していないなら、まず本文を直す。
series_s4.mdは、S4の何本目で、次に何を扱うかを制作側で追うための記録である。
読者が記事を移動するための目次や前後ナビとは、役割が違う。
articles.dbは、公開後の記事をURL、投稿ID、公開状態と一緒に照合する台帳になる。
DBへ登録した記事をあとから追えるようになった話は、公開後にDBへ記録した実践記録に残してある。
ここで大切なのは、DBが記事制作のすべてを決めるわけではないことだ。
公開済みかを確かめるならDBを見る。
今書いている本文を直すならdraftを見る。
何を決めたかを確かめるならarticle_stateを見る。
情報の置き場所を分けるのは、情報を遠ざけるためではない。
必要なときに、迷わず取り出すためである。
正本の決め方は、3つだけでいい
最初に、その情報を更新する場所を決める。
記事の状態を変えたら、制作管理ファイルを更新する。
公開URLを変えたら、公開記事台帳を更新する。
次に、同じ答えを別の場所へ重ねて書かない。
本文の末尾やメモに、状態やURLの控えを増やし始めると、後でどれが正しいか迷う。
最後に迷ったら、この質問はどこを見れば分かるかを1つ決める。
自分の環境にarticle_stateやarticles.dbがなくても、この決め方は使える。
ファイル名ではなく、問いと見る場所を固定する。
それだけで、正本は作り始められる。
正本を1つ決めたら、探す時間が減った
記事制作の仕組みが増えると、見る場所も増える。
だから、全部を減らす必要があるように感じる。
でも、必要な記録まで消す必要はなかった。
記事の判断はarticle_stateに残す。
本文はdraftで直す。
シリーズの並びはseriesで見る。
公開済み記事の照合はDBで行う。
同じ情報を何度も書かない。
次に知りたいことごとに、見る場所を1つ決める。
それだけで、制作中にファイルを開く順番が少し静かになる。
俺が減らしたかったのは、記録の数ではなかった。
今の答えを探すために、同じことを何度も読み直す時間だった。


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